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最高裁判所第一小法廷 昭和47年(し)50号 決定 1972年11月16日

申立人

荒木幸雄外二名

右の者らに対する付審判請求事件について昭和四七年七月一七日大阪高等裁判所がした裁判官忌避申立却下決定に対する即時抗告棄却決定に対し、弁護人重宗次郎から特別抗告の申立があつたので、当裁判所は、次のとおり決定する。

主文

本件各抗告を棄却する。

理由

本件各抗告の趣意は、違憲(三一条、三二条、三七条一、二項違反)をいうが、大阪地方裁判所第一〇刑事部の示した本件審理方式には、弁護士でない請求人らにも等しく記録の閲覧騰写を認め、証拠調べに際し、請求人でもない事務局員二名の立会を認め、また、五四名にもおよぶ多数の請求人の立会質問を許しているなどの点において、行き過ぎと見られる措置のあることが認められるところ、その審理方式自体からは、直ちに、同刑事部裁判官らが、本件付審判請求事件につき不公平な裁判をする虞れがあるとは認められないから、所論違憲の主張はその前提を欠き、適法な抗告の理由にあたらない。

よつて、刑訴法四三四条、四二六条一項により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(下田武三 岩田誠 大隅健一郎 藤林益三 岸盛一)

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